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シーシャ肺に入れる大丈夫？健康への影響と楽しみ方の真実

12月29,2025 時雨優太.

シーシャ肺に入れる大丈夫？

シーシャを楽しむ際に、「この煙、肺に入れても大丈夫なのだろうか？」と一度でも疑問に感じたことはありませんか。

紙巻きたばこや電子タバコと同じ感覚で深く吸い込んでいる人がいる一方で、「本来は肺に入れない吸い方が正しい」と聞いたことがある人も多いはずです。

実際、シーシャには 「肺に入れる吸引（肺吸引）」と 「口の中に留める吸引（口内吸引）」 という二つの吸い方が存在し、この違いが健康リスクに大きく関わっています。

本記事では、世界保健機関（WHO）や欧州呼吸器学会（ERS）など信頼できる公的・専門機関の見解をもとに、シーシャの煙を肺に入れることは本当に問題なのか、そしてよりリスクを抑えた楽しみ方とは何かを、できるだけわかりやすく解説します。

直接吸引と間接吸引の定義

シーシャの口内吸引と肺吸引の違いを示す図解

煙を口から吸い込んだ後、喉を通して直接肺に送り込む吸入方法です。喫煙や電子タバコにおける一般的な吸い方に近く、吸入深度が深いことが特徴です。

煙を口の中に一度留め、肺には送らずに口から吐き出す方法です。煙の成分は主に口内粘膜から緩やかに吸収され、呼吸器系への直接的な侵入を意図的に回避します。

シーシャを楽しむ様子と煙の広がり、口内吸引と肺吸引の解説用イメージ

世界保健機関（WHO）や各国の公衆衛生機関は、水たばこ（シーシャ）に関する公式ファクトシートにおいて、シーシャの煙を肺に深く吸い込む行為を明確に危険視しています。

リスクの本質： シーシャセッション1回（通常60分）で吸い込む煙の量は、紙巻きたばこ100本分に相当する可能性があり、肺への物質沈着量が飛躍的に増加します。
一酸化炭素の危険性： 特に密室や換気の悪い環境での深い肺吸引は、急性一酸化炭素中毒（めまい、意識障害）のリスクを著しく高めます。

肺胞への不可逆的影響： シーシャ煙に含まれる微細粒子は肺胞まで到達し、肺胞壁を損傷する可能性があります。この過程は肺線維化を引き起こし、呼吸能力の恒久的低下につながります。
ニコチン依存の加速： 肺吸引ではニコチンが約7〜10秒で脳に到達し、依存症形成を強く促進することが指摘されています。
既存呼吸器疾患の悪化： 欧州呼吸器学会（ERS）は、水たばこや加熱式たばこを含む新型ニコチン製品が肺や呼吸器に有害である可能性を示しています。
参考： ERS公式声明（PubMed）

シーシャの煙や吸入が肺に与える影響を示すイメージ

煙を肺の深部（肺胞）まで到達させない最大の利点は、呼吸器系への物理的・化学的刺激を限定的にできることです。

微粒子状物質の沈着防止： シーシャの煙には、タールや超微細粒子（PM0.1以下）が含まれる場合があります。これらの物質が肺胞に沈着すると、繊毛運動による排出が困難となり、慢性的な炎症リスクが上昇します。間接吸引では、これらの物質が気管支の深部まで到達することを防ぎます。
一酸化炭素曝露の低減： 一酸化炭素中毒に関する臨床報告（J-STAGE）によると、不完全燃焼により発生する一酸化炭素は、血液中のヘモグロビンと強力に結合します。肺深部からの直接吸収を避けることで、急性の一酸化炭素中毒リスクや慢性的な低酸素状態への影響を軽減できます。

間接吸引は、依存性物質の摂取パターンを変化させ、自己制御を助けます。

血中ニコチン濃度の急上昇の防止： 肺胞からの吸収は即効的で、血中濃度が急激に上昇します。これにより「ニコチンラッシュ」と呼ばれる強い感覚が生じ、依存症形成のサイクルを加速させる可能性があります。口内粘膜からの吸収はゆるやかであり、この急激なスパイクを防ぎます。

摂取量の意識的なコントロール：

シーシャの煙は、通過する炭の加熱により高温になることがあります。

喉頭と気管の保護： 高温の煙が声帯（喉頭）や気管を直接通過しないため、粘膜の乾燥、炎症、慢性的な咳のリスクを低減します。声をよく使う職業の方や、もともと喉が弱い方にとっては重要な配慮です。
気管支過敏性の回避： 喘息やアレルギー体質の方では、直接吸引が気管支攣縮を誘発する可能性があります。間接吸引はこのリスクを大幅に下げます。

シーシャの長期的な健康影響については、紙巻きたばこに比べ研究が発展途上です。

予防的アプローチ（予防原則）の適用： 科学的に完全に解明されていないリスクに対して、より曝露を少なくする方法を選ぶことは合理的な判断です。特に若年層では、生涯にわたる曝露の累積効果を考慮する必要があります。
既存の呼吸器疾患をお持ちの方への適合性： COPD（慢性閉塞性肺疾患）や間質性肺炎などの基礎疾患がある場合、医師が「喫煙」を厳禁とする中で、社会的な場への参加を可能にするオプションとなり得ます（ただし、必ず医師に相談が必要です）。